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導入事例

株式会社 山装

Autodesk Inventor と 3D プリンタの組合せで
ものづくりのスピードが強力に加速する

現場の声をストレートに取り込み素早く具現化していく開発力と これを支える Inventor & 3D プリンタこそ最大の武器

現場の声をストレートに取り込み素早く具現化していく開発力と
これを支える Inventor & 3D プリンタこそ最大の武器


現場の声をストレートに取り込み素早く具現化していく開発力とこれを支える Inventor & 3D プリンタこそ最大の武器

現場の声を生かした“ものづくり”で躍進

横浜市の山装は、建築防水資材の製造・販売を行う建築資材メーカーである。かつては建築工事部品専門の商社だったが、約 10 年前から自社内で「ものづくり」を開始。ニーズに応えた防水関連製品を次々開発し、成長を続けている。

「建築防水関連資材といっても、一般の方は想像しにくいでしょう。当社で扱っているのは、ビルの屋上やベランダの防水工事に用いる部材、特に排水口やドレーン部の防水に使う排水口や脱気装置などのサポート部材です。」そう語るのは同社の開発技術課課長、廣瀬隆行氏である。そこで廣瀬氏に同社の主力商品の 1 つ、脱気装置を紹介してもらった。同氏によれば、これはビル屋上の防水工事で発生する「防水層のふくれ」の問題を解決する装置なのだという。

「ビル屋上の防水工事では、ウレタンやアスファルトでコンクリートを覆い防水層を作ります。ところがこの防水層の下のコンクリートは水分を含み、太陽に熱せられ湿った空気を吐き出します。これが問題なのです。」防水層の下で逃げ場をなくした空気は防水層の接着面を持ち上げ、不格好な膨らみを作る。これが「防水層のふくれ」である。見た目が悪く防水効果も損なうため、その解消は防水工事の重要なポイントの 1 つとなる。

「脱気筒は、防水層の下の湿った空気を外に排出するための装置です。簡単にいえば、防水層の下と外界との通路を作り、空気圧を抜く仕組みです。」
廣瀬氏の説明を聞くと、仕組みはごくシンプルで、特に新たな工夫の余地はないように思えるかもしれない。だからこそ、そこにニーズを捉えた細かな機能を加え、付加価値を高めて差別化を図っていくことが重要なカギとなるのだ。

「たとえば当社のダモステンレス脱気筒は、安価で優れた耐食性を持つステンレス製脱気筒です。その特徴はステンレスワッシャと外筒で防水層端末部をしっかり抑え込み、基盤部に樹脂を被覆して滑りを抑えて防水層と脱気筒を一体化すること。
実はこれは防水工事を行う企業が一番気にする、防水層端末部の処理が確実に行えるようにする工夫なのです。実際に多くのお客様に受け入れられ、人気商品になりました。」

まさに現場を知る者ならではのアイデアだが、同社のこうした工夫は、この「ダモステンレス脱気筒」だけではない。主力商品の多くで現場の声に応えた機能付加や改良を行っており、多くの製品を毎年確実に進化させながら、アイテム数を増やし続けている。その原動力は、営業スタッフとの緻密な連携により現場の声をダイレクトに取り込み、それを素早く的確に具現化していく開発力にある。そしてそれを支えているのが、Autodesk Inventor(以下Inventor) と 3D プリンタ の組合せによる同社独自のものづくりシステムなのである。

株式会社 山装
営業部 開発技術課
課長
廣瀬 隆行 氏

Inventor と 3D プリンタの組合せにより、
現場の声を活かしながら開発期間を1/3に短縮

3D プリンタの活用で現場の声を引き出す

「たとえばこれをご覧ください。」そういって、廣瀬氏は直径 10㎝ ほどの円形の黒い製品を手に取った。「当社の製品で、排水口に取り付ける排水口カバーです。これもお客様の意見を取り入れ Inventor で設計し、3D プリンタで出したサンプルをお見せしてまた意見をもらうということを何度も繰り返して、この形、このサイズになりました。」3D プリンタ導入以前は、写真やCG、図面を見せて意見をもらっていたと廣瀬氏は言う。試作品を作ることもあったが、当時は外注が中心で、コストと時間がかかり気軽には作れなかったのである。

「CG 画像や図面を現場の職人に見せても、設計意図はなかなか伝わらず、意見もいただけないことが多いのです。ところが 3D プリンタで出力したサンプルをお見せすると、反応が全く違う。無口な職人の口から“ここはこうした方がいいね!”とするっと言葉が出てくる。実際この排水口カバーなど、3D プリンタによる試作品を排水口に嵌めてみて、微妙なはまり具合やサイズに関する貴重な意見もいただきました。この違いは想像以上に大きいのです。」つまり 3D プリンタで出力したモデルなら職人が手にとって確かめられるから、現場に即した職人の微妙な感覚もストレートに引き出せるのである。加えて Inventor と 3D プリンタの組合せによる圧倒的なスピードが、この流れを強力に加速する。

「普通に試作品を作れば、外注でも社内製作でも 1 週間かかります。そうして作った試作品でお客様や社内で意見をもらい、作り直しが最低でも 1 回はあるので、それだけで最短 2 週間は消費してしまいます。ところが 3D プリンタなら、午前中に会議をして意見をもらい、午後 Inventor で修正して 3D プリンタに流しておけば、翌朝には試作品が完成しています。つまり、意見を聞いた翌日に修正案の試作品をお見せできるのです。」このサイクルを繰り返せば開発期間はどんどん短縮される。実際、その期間は従来の 3 分の 1 程度になった、と廣瀬氏は言う。さらにこの圧倒的なスピードは、同氏自身の開発作業自体を大きく加速した。

「製品開発をしていると、自分だけで判断できない箇所があったりして悩むことも多いのですが、この手法なら、迷ったらどんどん試作品を出力してお客様の意見を聞ける。それだけ素早くジャッジできるし、ある意味、楽に開発できるんです」

「ダモステンレス脱気筒」の 3D プリンタによる造形物

活用している3Dプリンター

営業が使う Inventor こそ最強の開発ツール

このように Inventor、3D プリンタを駆使する廣瀬氏だが、実はバリバリの技術者ではない。
「開発技術課は当社唯一の開発部隊ですが、部門としては営業部に属しています。私自身も営業だったんですよ。」もともと営業主体で展開してきた同社には、商品開発専門の技術部門はなく、新商品の開発も営業が中心となって進めてきた。つまり、営業がお客様やお客様の工事現場に通って現場の要望を聞き集め、これを営業自身が簡単なスケッチや文書にまとめて協力工場へ設計を依頼。何度もやり取りを繰り返しながら図面と見積を仕上げていたのだ。

「お客様の要望を商品に反映させる上で営業主導の手法は効果的でしたが、時間がかかり、無駄も多く、良い提案ができていませんでした。

そこで営業マンだった私が開発担当に指名され、Inventor を学ぶことになったんです。」2DCAD にも触れたことがない廣瀬氏にとって、社長の Inventor 修得指令は高いハードルに感じられたという。しかし、同氏は 1 〜 2 回基礎スクールを受けただけで、あとは実際に Inventor に触れて大塚商会の電話サポートを活用しながら、スムーズに修得できたのだという。

「最初は自社製品を Inventor で 3D モデル化することから始めました。3D なら操作も覚えられるし製品のことも分かる。“ものづくり”自体が理解できたんです。正直、図面は分からなかったんですが、Inventor は感覚的に理解できました。いきなり Inventor で始めたのが正解でしたね。」現在、開発営業課の課長として同社のものづくりを一手に引き受ける廣瀬氏だが、新規開発の依頼が相次ぎ、さすがに手が足りなくなってきたようだ。

「Inventor を使えるスタッフの養成が急務です。それもできれば営業の中から育てたい。営業自身が使うことで Inventor はより強力なものづくりツールになるんですよ。新人が入ってきたら、ぜひ勉強させたいですね。」

ストレーナの3Dモデル

ストレーナの造形物

会社名:株式会社 山装

所在地:神奈川県横浜市
ソフトウェア:Autodesk Inventor

Inventor と 3D プリンタによる開発の次のステップは、3D プリンタの出力に「本物の素材」を使うことです。やはり金属、特にステンレスで出力できれば、現場の方にも実際に試していただけます。すでにそういう 3D プリンタも出ていますが、これがコストダウンされればすごい変化が起きるでしょう。これまで金型代が出なくて採算が取れなかったような製品も、作れるようになるかも知れません。これからがますます楽しみですね。

廣瀬 隆行 氏
株式会社 山装
営業部 開発技術課
課長

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ものづくりのスピードが強力に加速する
株式会社 山装

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