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導入事例

株式会社 Xenoma

Autodesk Fusion 360で実現する、
ウェアラブルの一歩先の未来


3 次元 CAD を使って、筐体設計を柔軟に発想

東京大学・染谷隆夫研究室からスピンオフベンチャーとして誕生した株式会社 Xenoma(以下 Xenoma)は、現在、「e-skin」というまったく新しいセンサー搭載型の衣類開発に取り組んでいる。同社は「e-skin」を“スマートアパレル”と定義。伸縮性のある生地を使った衣類にセンサー、配線を組み込むことに成功。カメラを使わず、身体の動きを細かくトラッキングできるようになっており、リアルタイムで身体の動きをスマートフォンやパソコン上で見ることができるようになっている。こうした“ウェアラブル”の一歩先を見据えたプロジェクトに国内外から注目が集まっている。

SF 映画『トロン:レガシー』のコンピューターゲーム内の住民たちが着用する黒いスーツを連想させる「e-skin」は、見た目はフューチャリスティックなスポーツウェアといったところだ。ポリエステル 80 %、スパンデックス 20 %の生地を使用しており、適度に身体にフィットする。ウェアの表面に走る、いくつものラインは 14 個の伸縮センサーだ。このラインは見た目のデザインとして施されているわけでなく、実際にこのラインには電気が通っており、伸び縮みを感知すると電気抵抗が変わって、身体の動きを数値として把握することができるようになっている。

電気を通す伸縮センサーはこれまで洗濯に耐えることが難しかったが、Xenoma では洗濯に耐えうる技術を独自に開発。100 回以上の洗濯に耐えられることが同社の実験で証明されている。

「e-skin」は前面をファスナーで開閉できるようになっているが、そのファスナーをまたぐように胸の部分に取り付けられているのが「e-skin Hub」というコントローラーである。「e-skin Hub」には加速度計、ジャイロセンサー、6 軸のモーションセンサーが備わっており、ここから Bluetooth モジュールを経由してペアリングしたスマートフォンやパソコンへデータが送信可能となる。伸縮センサーで読み取ったデータが 1 秒間に 60 フレームのデータとなり送信されるという。

2017 年 2 月に発表された e-skin。

e-skin を利用したゲームコントロールの一例。

VR と組み合わせれば、没入感のある体験が可能に

この「e-skin Hub」のデザインを試行錯誤するためにチーフエンジニアの仙頭邦章氏が活用したのが Autodesk Fusion 360 である。仙頭氏は、前職で航空機のガスタービンエンジンの部品の設計にたずさわっており、そこでは他社の 3 次元 CAD/CAM/CAE ソフトウェア「UGS NX」を使用していた。会社をやめてフリーランスになった際、使い慣れたソフトウェアを使用したかったが価格が 200 万とかなり高額だったため手が出なかったところ、ちょうど 2 年ほど前に Autodesk Fusion 360 の存在を知る。試しに使ってみると、以前会社で使用していたソフトウェアと似ていて使いやすいことがわかり活用するようになった。

「e-skin Hub」は装着位置も含めて、さまざまな方法、形状を模索してきた。現在の胸に装着し、ボトムとフロントの 2 つに分かれるコントローラーに決定したのは約 1 年前で、量産体制に入るわずか数ヶ月前のことだった。この決定にいたるまでに、仙頭氏は Fusion 360 のダイレクトモデリング機能を積極的に活用して、かなりの数のプロトタイプをつくってきた。最終的にこの形に落ち着いたのは、シャツが前開きのジッパーだということを前提に、洗濯時に取り外すことも考慮に入れたからだという。

「今では何か作ろうと思ったら、とりあえず Fusion 360 を立ち上げます。直感的に操作できるので、3 次元 CAD の入口としてもハードルが低いソフトウェアだと思いますね。これまで 2 次元しか使ってこなかった製造業の方や、これから 3 次元 CAD にトライしたいという方にも入りやすいのではないかと思います」(仙頭氏)

さらに、工場とのやりとりには一部 Inventorを活用。射出成形でパーティングラインを境に必要な抜き勾配を付ける機能や、線を追加しての 2 次元図面の修正などは Inventor を利用。また、基板の確認には基板設計の担当エンジニアが AutoCAD ユーザーだったため、AutoCAD を使用するなど、Fusion 360 でも対応可能な設計であっても、取り引き先や状況に応じて、さまざまにソフトウェアを使い分けているそうだ。

「e-skin」は VR などのゲームのコントローラーとして活用すれば、たとえば格闘ゲーム等ではユーザー自身の細かな動きをデータとして取り込むことができるため、直観的で没入感のある体験をもたらすことが可能となる。現在は Microsoft Hololens に対応していて、デモ動画もネット上に公開されている。また、一方でスポーツや運動のフォームをモニタリングすることができるため、自分の動きを客観的に観察することも可能となる。「e-skin」はカメラを使用するわけではないので、屋外で移動しながら使用することもできる。現在、実用化されたのは上半身のウェアのみだが、下半身についても現在プロトタイプはできており、実用化される目処はたっているため、全身を使うスポーツの動きを捉えることも十分可能となってくる。

2017 年 8 月現在、Xenoma はクラウドファンディングサービス「Kickstarter」にて支援者を募っており、5 万ドルを集めることを目標としている。キャッチコピーは「Controller Is You(コントローラーはあなたです)」だ。支援者はソフトウェア開発キットを手にすることができる。開発環境は Windows、Android で、Mac、iOS も現在準備中。ソフトウェア開発キットには、ログデータをヴィジュアル化する「Data Tracker application」に「Running / Fitness application 」「Yoga application」が付いてくる(支援金額によってアプリの数は変動する)。

ソフトウェア開発を担当するチーフエンジニアの辻 裕樹氏によると、今後、Xenoma 自体はソフトウェアの開発に力を入れていくのではなく、Google Play や App Store のようなイメージで、誰でも「e-skin」に対応したアプリをつくって公開し、ビジネスにできるような環境を目指しているという。今回用意したアプリケーションも代表的な使用例のサンプルという位置づけだ。「ゆくゆくは“e-skin ストア”を開設して、e-skin 衣類を販売したり、e-skin アプリがダウンロードできるようにしていきたいと考えています」と辻氏は語る。

現在のところ、「e-skin」は人の動きをデータ化してスマートフォンやパソコンに送ることが主な動作となるが、その逆として、人がパソコンやスマートフォンからの情報を受け取ったりするのにも最適なインターフェースになりうる可能性も秘めている。まったく新しい衣類を使った試み、今後の動きにも注目していきたい。

拘束での組付け確認。試作が出来る前に組付け位置や干渉の確認を行った。

現行モデルのコンセプト段階で出した複数のモデル案の 1 つ。

試作段階では実際に切削を行い部品の検証を行った。

会社名:株式会社 Xenoma

所在地:東京都大田区
ソフトウェア:Autodesk Fusion 360、Autodesk Inventor

“今では何か作ろうと思ったら、とりあえず Fusion 360 を立ち上げます。直感的に操作できるのがいいですね”

仙頭邦章 氏
研究開発部 チーフエンジニア、3D モデリング エキスパート

辻 裕樹 氏
研究開発部 チーフエンジニア

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